飲食店とAI (人工知能)について 〜集客とコスト削減〜②

飲食店とAI (人工知能)について 〜集客とコスト削減〜②

目次

飲食店とAI(人工知能)〜iBeaconの活用〜


現状、インストアマーケティング分野でのテクノロジーでは、iBeaconが主流となっている。 iBeacon(アイビーコン)とは、Bluetooth Low Energy(BLE)ビーコンの一種で、アップルの商標であり、ios7以降で搭載された低電力、低コストのつ通信プロトコル、またはその技術を指す。また、Bluetoothを使った発信機で、半径数十メートルの範囲において、数秒ごと一回の信号の発信をおこなう。iBeaconでできることは、位置情報の把握やスマホアプリへのPush通知である。iBeaconの基本的な機能である「位置情報」、「プッシュ通知」を組み合わせて活用すれば、店舗内の顧客に効果的なプロモーションをおこなうことができる。

飲食店におけるiBeacon利用の実例として、TAMECCOというサービスがある。
吉野家や天丼てんや、幸楽苑などのチェーン店に導入されており、よくわたし自身も利用する。
TAMECCOが導入されている店舗へ入店し、数分経過すると自動的にそのお店のスタンプが
付与される。いちいち財布にある大量のポイントカードを探す手間を省いたユーザーフレンドリーなサービスである。また、一定のスタンプを貯めると牛丼1杯無料というようなインセンティブがあるので、そのお店によく行くのであれば、十分ユーザーメリットがあるサービスである。

飲食店とAI(人工知能)〜iBeaconの新たな動き〜

最近では、PaperBeacon(表面認識ビーコン)という新たなビーコンが帝人等により開発され、従来のビーコンでは実現が困難なテーブル単位や限られた場所の特定ができるようになったようだ。厚さ1.5mm程度のシート型発信機で面として信号を発信することが可能で、シート上に置いた特定のスマホやタブレットだけに情報を提供できる。
飲食店での利用用途として、席を確保した後、テーブルシートに埋め込まれているPaperBeaconにスマホを置けば、アプリ上でメニューを閲覧し、テーブルオーダーから決済までが可能であるようだ。これにより、ユーザー情報とオーダー情報を紐付けられるため、顧客の利用データを蓄積できマーケティング活用、且つ人手不足が叫ばれる飲食業界のオペレーションコストの削減を可能とするだろう。

飲食店とAI(人工知能)〜iBeaconの留意点〜

しかしながら、iBeaconには下記ユーザー側としての課題感はある。
①Bluetoothを付けていない、やり方がわからないユーザーが一定数いる
②アプリをダウンロードしない、したくない
③Push通知が多すぎると嫌悪感を持ち離脱する
という内容。

また、現状のiBeaconサービスで飲食店側は、どこまでユーザーを把握し、売上に繋げることができるかが肝であるので、一言で「マーケティングに活用できる」では片付けられないと思う。そもそも、飲食店オーナーや店長は常に多忙で、本業である「味」と「接客」に注力すべきものなので、それを前提にソリューションを考えなければ、飲食店への広がりは見込めない。
営業戦略が大手チェーン店やイオンモールのフードコートをターゲットとしているのであれば、問題はないが。。

飲食店とAI(人工知能)〜まとめ〜

インストアマーケティング分野での手段として、iBeaconの活用を主体として書いてきたが、外食業界を俯瞰として見た場合、大手チェーン店にはマッチするものの、大半の飲食店としては厳しいとわたしは考える。理由として、既にグルメメディアでクーポンは取得可能であり、予約情報からPOS連携も進んでいる中で、どの顧客がいつ来て、何をオーダーし、会計額はいくらなのか等の把握が可能であるため、ある程度のリテンションは高められるので、iBeaconを利用する理由がないような気がする。前回、書かせていただいたTORETAやリクルートのAirシリーズなどが最たるものである。

飲食店のインストアマーケティングでは、違った切り口で飲食店に貢献できると考える。それが、AIであり、マーケティングオートメーションであると考えている。
次章では、本題である飲食店のAI活用による未来を考察していきたい。