テイクアウトマーケットとサービスについて

テイクアウトマーケットとサービスについて

目次

テイクアウトについての考察

そもそもテイクアウトとは何か?なのだが、皆さんがよく利用しているコンビニや弁当屋、デパ地下での食事の買い物がそれにあたる。
外食やホームデリバリーとは違い、テイクアウトは、基本店頭に出向き、店頭で商品を選び、決済し、持ち帰るという流れのカテゴリである。
このカテゴリが現在、IT化の流れが徐々に起きつつある。なぜだろうか?
よくよく考えると外食カテゴリでは、ぐるなびやホットペッパーがあり、デリバリーカテゴリは、出前館があるのに対し、今までは、テイクアウトといえばという代名詞が無かったのが不思議なくらいだ。今回は、そこに着目し、考察したいと思う。

テイクアウトマーケット

2017年度のテイクアウトマーケットは約7兆円と大きなマーケットとなっており、まだまだ成長を続けている。

出典:富士経済

それを牽引しているのは、CVSと量販店デリカである。その背景としては、高齢者世帯や単身世帯の増加、女性の社会進出といった社会構造の変化による影響が考えられる。
家庭で調理するよりもスーパーやコンビニで惣菜を購入した方が効率的だと考える人が増加しているのも大きな要因であろう。また、外食業態の店舗も外食離れによりマーケットが横ばいな中でテイクアウトサービスを展開し始めている店舗も増えてきている。

そんな中で今までテイクアウトカテゴリでIT化が進んでいなかったが、昨今テイクアウトに特化したサービスが立ち上がってきたので、その兆候を国内事例を交えて見ていきたいと思う。

国内プレイヤー

まずは、テイクアウトサービスで国内先陣を走っているのが、《O:der》であろう。

2013年7月にリリースし、トリドールなど大手の顧客を獲得している。テイクアウトサービス以外にも順番待ち管理サービス《O:der in Time》やセルフ注文ソリューション《O:der by Self》など展開しており、その中でも接客・購買ナビゲーションサービス《O:der Cognis》というサービスが面白いと思った。実店舗やECサイトでの販売シーンに特化した、チャット形式での対話型UI(チャットボット)サービスで、端末上でAI(人工知能)と対話をすることで、その文脈からユーザーの潜在的なニーズや嗜好を判断できるらしい。店頭でスタッフが実際に販売するシーンのように、一人ひとりの好みにフィットした商品をレコメンドすることが可能とのこと。現在、チャットボット業界が盛り上がっている中、早期にこのようなサービスを展開しているところは先見性がある。

また、その他プレイヤーとしては、最近(2018年5月)資金調達を実施した《Picks》であろう。

Picksを提供するDIRIGIOは2016年7月設立の会社で最初は別のグルメサービスを展開していたようだが、2017年からPicksの前身となる《DoggyBag》をリリースした。
Picksはスマホから飲食店のテイクアウトメニューを事前に注文・決済することで、スムーズに料理を受け取ることができるサービスだ。
店舗にとっても、スマホひとつでテイクアウトに対応できることが魅力。何か複雑なシステムや大型の端末は不要だ。テイクアウトが人気でいつも行列ができてしまう店舗では、顧客の待ち時間を減らすことで満足度向上や離脱客を抑える効果も見込めるだろう。

また、最近では飲食店のフードロスに注目したサービス《TABETE》が面白いと思った。

それでは、フードロスとは一体何なのか。
フードロスとは、「食べることができるにも関わらず廃棄される食品」のことを指す。捨てられる食品の全てがフードロスと定義されるわけではない。
日本において、食べることができるにも関わらず廃棄される食品は年間621万トン発生していると言われている。
621万トンと言われてもうまく想像ができないが、日本国民全員が毎日おにぎり2個を捨てているくらいの量になる。凄い量だ。
このフードロスを少しでも少なくするためローンチしたのが、《TABETE》である。閉店時間やランチタイムの終わり、商品の入れ替え時間、閉店時間が近づいてロスが発生しそうになったら、その内容をTABETEのサイトに掲載し、食べ手と飲食店をつなげる。社会貢献につながる応援したいサービスである。

まとめ

このように日本の社会構造の変化により、より一層テイクアウトを提供する店舗も増えてくるだろうと予測できる。その一方で人材不足に悩む店舗にとって、テイクアウトサービスをIT化し効率化することは必須なので、
国内のプレイヤーは増加していくだろう。今後、何を差別化し、店舗とカスタマーにサービスを提供していくのかがとても楽しみなサービスカテゴリである。