Health×Tech 治療アプリの海外国内事業を調べてみた!
目次
治療アプリとは
治療アプリと言うキーワードをよく聞く様になったのは最近だろうか。筆者自身は恥ずかしい話、国内スタートアップのキュア・アップがメディアに出始める様になった2年ほど前から聞く様になった認識だ。
治療アプリとは、特定の病気を治療するために使われるアプリケーション(ソフトウェア)のこと。2014年11月に施行された医薬品医療機器法(旧薬事法)で、アプリケーション(ソフトウェア)も医療機器として認められるようになった。臨床試験(治験)を通じて医学的データを示して承認を得られれば、保険適用を受けられると言う。(引用:日本経済新聞)
治療アプリの海外市場
まず海外市場ではどうだろうか。医療の最先端をいく米国では、2010年に、Welldoc社の「BlueStar」という糖尿病患者向けの治療補助アプリが医療機器として承認された。これは一定の対象者に対して糖尿病治療の改善効果が治験を通じて証明されたという快挙だった。
上記をきっかけに、食品医薬品局(Food and Drug Administration、以下FDA)は、アプリケーションでの医療行為の有効性に期待を抱き、治療アプリであるかどうかの判断基準を明確にした。
そして、最終的にはそのスキームは2016年10月にアップデートされ、「Software as Medical Device(以下SaMD)」という名前で臨床評価のガイドライン草案を公開するに至った。
出典:FDA
治療アプリをスタートアップがやる意義
米国では、2017年に入ってから治療/治療補助アプリスタートアップへの投資が増加しています。これらは米国ではDigital Therapeutics もしくはDigital Therapyと総称され、医療テックファンドのRockHealthのレポートでも2017年上半期のトップカテゴリーとして取り上げられた。
そんな治療アプリだが、スタートアップが挑戦する意味とはなんなのか。
特性上、治療アプリとして承認されないことには、完全なサービスとして本格リリースはできない。ましてや、課金してまで使われるアプリにはならないだろう。そういう意味では、近年の開発手法によくある、素早く開発して、順次ユーザーのフィードバックを受けながら開発を完了させるアジャイル開発は向かないだろう。
それだけでも、スタートアップが挑戦するには、大変にハードルの高い領域に思える。
治療アプリの国内市場
そんな中で、日本初の治療アプリとして出てきたのが、キュア・アップ。
出典:cureapp
キュア・アップは医師でもある代表の佐竹晃太氏が、2014年7月に設立したヘルステックのスタートアップ。医薬品や旧来の治療方法ではなく、患者の身近にあるスマホアプリを病気の治療に取り入れる、治療アプリとして開発している。(引用:techcrunch)
ちょうど、本記事を書いている時にキュア・アップが、既存株主のBeyond Next Ventures、慶應イノベーション・イニシアティブ、他新規株主から約15億円を調達すると言うニュースが。ようやく、国内の治療アプリで大型の調達が出てきた。
キュア・アップは、現在は、医療機関向けのニコチン依存症治療用アプリ「CureApp禁煙」の治験を実施中。同じく医療機関向けの非アルコール性脂肪肝炎(NASH)治療用アプリ「CureApp脂肪肝」も臨床試験が進行中だ。
さらには、生活習慣病やメンタルヘルス対策分野へも順次展開していく予定だという。
国内での治療アプリの行く末
スタートアップとして、治療アプリに挑戦している企業は果たしてどの程度存在するのか、未知数ではあるが、行政をはじめ多くの医療機関や研究者がこの分野に強い関心を示していることは間違いないだろう。
特にここ最近は、研究の一環での治療アプリならぬ取り組みが各地で行われはじめている。それは必ずしも、キュア・アップが提供しているようなネイティブアプリケーションを用いたサービスではない。
いわゆるチャットアプリを用いた、チャットボット型の治療アプリも、研究として開発されている。
例えば、海外の事例にはなるが、アルコール依存症をケアするためのメッセンジャーチャットボットがある。
ブラジルの10代の子供達のアルコール依存を解決するために作られた「Anonymous Friend」だ。Facebook awardでも入賞したプロジェクト。
出典:Anonymous Friend
他にも、うつ病患者のためのチャットボット、ギャンブル依存症患者のためのチャットボットなど、まだまだ数は少ないが、開発されている。
特に、国内においては、mental health careの分野において活用されやすいと言われており、今後も、こういった取り組みは増えていくことが予想される。
当社hachidoriでも本記事で触れたような治療アプリ的なチャットボット開発にはいくつか関わってきた。
興味を持たれた場合には、ぜひお問い合わせいただきたい。
hachidori株式会社