アプリマーケティングの事例とコツ

アプリマーケティングの事例とコツ

目次

アプリマーケティングに着目した理由

今回はアプリマーケティングについてまとめるが、その背景を簡単に説明する。

数年前から、アプリ開発ツールの台頭やアプリ開発エンジニアの増加により、アプリ開発のハードルが下がったことで、リリースされるアプリ自体の数が急増した。アプリ全体のアクティブユーザーを月ごとに合算した合計月間アクティブユーザー(MAU)の成長率は、16年4月から同年9月の半年間の成長率18.0%だった。一方で、2016年10月から17年9月までの1年間で3.4%。依然上昇トレンドではあるものの、上げ幅が縮まった形。※
※出典:App Ape

アプリ離れといった言葉を聞くようになったが、実際アプリマーケティングはより一層難しくなってきているよう。

そんな中でも、Rettyやメルカリのような多くのダウンロード数と売上を誇る巨人アプリも存在する。もちろん、サービスコンセプトそのものが良いということもあると思うが、そこにはマーケティング手法による工夫が少なからずあるはずだ、ということで、調べたくなった。これが動機だ…

アプリマーケティング事例

全国タクシー

2011年12月に公開された「全国タクシー」アプリから。
どんなアプリかというと、地図上から乗車場所を指定するとタクシーを配車できるアプリ。

実際のマーケティング手法だが、
はじめのうちは電話でタクシーを呼んでいただいた人に向けてアプリを紹介していたが、なかなかダウンロードには実を結ばなかったらしい。
タクシー会社には雨の日や雪の日、電車が止まった時など、タクシー会社の電話が集中するタイミングがある。そこで、回線が混雑して順番待ちの状態を狙って、「音声放送」の中に全国タクシーの紹介を入れ、ダウンロードを促したという。
また、「日本交通」は知っているが、「全国タクシー」を知らない既存顧客へ向けて電話アプローチをとったり、協力会社の車体や社内にアプリの紹介を掲載したり、オンライン広告を掲載する施策などを行って、ダウンロード数や配車率、リピート率を見ていたという。

コカコーラ「Coke ON」


一度は使ったことがあるのでは?
コカコーラが運営するアプリ。いくつか機能があるが、アプリを使って15本購入すると、1本無料でプレゼントするという「ポイントプログラム」を実施している。
  
また、プロモーションとして面白いのは、これ。
ワールドワイドパートナーとして世界的に大規模なキャンペーンを展開したリオ五輪では、「コカ・コーラ」ブランドをアピールするプログラムを実施。日本人選手が金メダルを獲得すると、「コカ・コーラ」ブランド製品のドリンクチケットをプレゼントする「ゴールドメダル サンプリング」を行った。具体的には、「Coke ON」と「コカ・コーラ」公式Twitterを連動させて、金メダルを獲得した瞬間、リツイートされた数だけ製品が当たるキャンペーンを実施、夏の期間中に約20万本のサンプリングを行ったよう。
つまり、20万のリツイートがあったということ。

もう一つユニークなのが、これ。
気温やエリアを限定したサンプリング。これは35度を超えたエリア限定で、「アクエリアス」をプレゼントするというもの。製品ブランドの特性とマッチしていて、とても面白い。

メルカリ

こちらも一度は使ったことがあるでしょう。日本最大のフリマアプリ『メルカリ』。2013年7月にアプリをリリース、2014年5月に初のテレビCMを放映。同年10月には手数料の有料化に乗り出すもダウンロード数は停滞することなく、2016年11月には4000万ダウンロードを突破というから驚く。

まさに右肩上がりと言える業績の背景には、何があるのか。
これまで放映されたテレビCMから見えてくる要素が「徹底したターゲットの絞り込み」と「アプリ認知度への客観性」です。初のテレビCMでは、ショッピングに積極的なF1層に人気を博したテレビ番組からタレントを起用。鋤柄氏は「完全に新規獲得を目指したクリエイティブ。『メルカリ』の認知度が低い中、その名前と『フリマアプリ』であることを知ってもらうため、シンプルなコミュニケーションに徹した」と振り返る。
出典:「今注目企業が語る! 非ゲームアプリのマーケティングセミナー」の登壇スピーチ

初のCMから1年半経過後のタレントを起用しないCMが成功し、転機となったよう。ユーザー層を徹底的に考え抜き、どのような状況にある人物がこのアプリを利用し、どのように利益を得るのかを明朗かつポップに映像化することにこだわった。それに加えて、『メルカリ』とは、具体的にどのようなことができるアプリなのかをわかりやすく説明している。

最も獲得効率が良かったのが、この『売ルフ&買ウガール』らしい。

もちろん、著名なYouTuberを起用したCMも実施。
『メルカリ』を実際に使用する様子を動画で配信。結果としては、通常のディスプレイ広告に比べ、CPIも低く、アプリダウンロード後のアクションも良かった」という手応え。半年を経た2017年1月にはターゲット層を“ALL”に切り替え、再びのインフルエンサー施策を実施している。

いくつかプロモーションを実施する中で、2017年2月に新規・既存顧客の双方を狙った施策が『こじはる 卒業キャンペーン』。
幅広い層に人気の小嶋陽菜元AKB48の起用で、「既存ユーザーの購入が活性化された事例」だったそう。

audi

テレビCMからスマホに車が飛び込んでくる!という、非常にユニークな施策。

ノルウェーのアウディが、テレビCMと連動したiOS向けARアプリ『Audi quattro® coaster AR』を展開した。
これはアウディクワトロシリーズの4車種(Audi Q2、Audi Q5、Audi Q7、Audi A7 quattro®)について、その性能をユニークな形で体感してもらうためのデジタルコンテンツ。

アプリを起動した状態で、テレビでアウディのCMが流れると、クワトロがテレビ画面を突き破って部屋の中へと飛び込んでくるというAR体験ができる。こんな感じだ。

デバイスのスクリーンを通じて見える車は、手のひらサイズのミニチュアにしたり、はたまた実際の大きさにして家の駐車スペースなどに表示させることも可能。

事例から学ぶアプリマーケティングのポイント

本ブログに書けなかった事例も含め、複数の事例を見て、いくつか共通している点があったので、ポイントとしてまとめて見た。

ネットとリアルの融合

様々なマーケティング分野で、近年よく言われることではあるが、アプリマーケティングにおいても、やはりネットとリアルの融合は非常に大切だと感じる。広告に慣れすぎた現代人は、ネットだけでもリアルだけでも響かない。CMや通常のWeb広告だけでなく、インフルエンサーを活用したSNSマーケティングなども取り入れることで、テレビやパソコンを利用しない層にも情報を届けることができる。
そこに体験としてのリアルを提供することで、効果が高まる。CokeONのマーケティングが良い例だ。

アプリのCMは、活用イメージが湧くこと

これもまた当たり前のことかもしれないが、『必ずアプリの活用シーンを入れること』、『アプリの画面が出ていること』、『スマートフォンの画面とともにApp Store、Google Playのバッジとともに検索窓を入れること』である。
また、潜在ユーザーがテレビCMを見てApp StoreやGoogle Playを開いたとき、そのアプリが総合ランキングで上位になっていることはすごく重要。